横浜・関内でペットと暮らすマンション・物件をお探しなら「&PET」横浜・関内でペットと暮らすマンション・物件をお探しなら「&PET」

Pocket

Pocket

犬を大事にする気持ちを共有できる専門家だから気付けること|犬の幸せを一番に考えるオーダーメイドの住まいづくり Inspire1 一級建築士 北原潦子氏

ペットは大切な家族。子どもの成長を思って住まい環境を考えるのと同じくらい、ペットが健やかに過ごせる住まい環境を用意したいと考える人が増えています。

しかし、ペットとひとは違ういきもの。いくら家づくりの専門家といっても、ペットの心とからだを理解していなければ本当にペットが暮らしやすい住まい環境をつくることは難しいのです。

そのことにいち早く気づいたのは、わんことくらす家を手がける一級建築士として活動する「Inspire1」の北原潦子さん。自身も3匹の犬と暮らすという北原さんに、ペットの健康に影響する住まいの注意点や、専門家と一緒に家づくりをするべき理由など、ペットと暮らす住まいづくりに役立つ知識や心構えについて話を伺いました。

ペットと快適に暮らすために必要なケア

まず、ペットにとって家とはどんな場所ですか?

ペットにとっても家は自分を守ってくれる環境です。自分にとって、落ち着ける場所。人と一緒ですね。

ペットショップから連れて帰ってきたばかりのワンちゃんは、はじめのうちは鳴いてばかりかもしれません。それは、環境が変わって不安やストレスを感じているからでしょう。次第に慣れてここが自分の家だと認識できると、落ち着けるようになっていきます。

人が暮らす“普通の家”に、そのままペットと暮らすというのは良くないのでしょうか?

もちろん普通の家でそのままペットと生活することは可能です。しかし、普通の家には、ペットにとって危ないことがたくさん。人にとってはなんともないあれこれが、ペットの心とからだに負担をかけてしまいます。

“普通の家”には、ペットにとってどんな危険があるのでしょうか?

いくつもありますよ。けれど、そういうケアが必要であることを知らない人が多いのです。「フローリングの危険性」「エリア分けの必要性」「ペットのひとり時間の確保」「空気環境」というまず最初に気づいて頂きたい4つのポイントがあるのですが、一つずつ、詳しくお伝えします。

よろしくお願いします!

1、 フローリングの危険性

まず、現代の一般家庭の建築の主流であるフローリング。フローリングは実はペットのからだの歪みを誘発してしまいます。“カシャカシャ”という爪の音をならして室内を駆け回るワンちゃんや、少し走っただけなのに止まりきれず横滑りしてしまうワンちゃんの様子を目にしたことはありませんか?

ワンちゃんは爪が出たままの生き物です。“カシャカシャ”という音は、足でしっかりと床を捉えられておらず、滑ってしまっている時の音。ワンちゃんにとってフローリングの床は滑りやすいのです。滑りやすい床を常に歩き続けるというのは、全身に緊張を生むほか、からだの歪みにも繋がってしまいます。

また、走ったあとに止まれず横滑りして、壁などにぶつかってしまうというのも危険です。中には、ソファなどから床にぴょんっと飛び降りた際に踏ん張りがきかずに転倒し、骨折をしてしまうワンちゃんもいます。おもちゃの引っ張り合いなどをして遊ぶ際も、踏ん張りきれずズルズルと滑ってしまえば、楽しさ半減です。

2、 エリア分けの必要性

ワンちゃんと一緒に暮らすなら、入っては行けない場所を明確にすべきでしょう。ワンちゃんは好奇心旺盛な生き物です。とくに、家に連れて来た直後や新しい環境に移ったばかりの頃は、落ち着ける場所を探してせわしく歩き回ります。ですから、家中どこにでも行けてしまうのは危険。特に、食べてはいけないものを食べてしまう可能性のあるキッチン周りは「キッチンゲート」を設置するなどの工夫が必要です。危険があるところには近寄らせない。わかりやすく言えば、赤ちゃんをイメージしてもらうといいと思います。

3、 ペットのひとり時間の確保

「なるべく家中、自由に動き回れたほうがいい」「自由に動き回れることがワンちゃんにとって幸せな環境」と考える飼い主さんは少なくありません。でも、実際はそうとも限りません。ワンちゃんと室内で暮らす場合にも、ワンちゃんの部屋やケージを用意してあげてほしいと思います。

リビングで家族と過ごすのはもちろん幸せですが、休みたいときにひとりになれるなど、周囲を気にせず過ごせるスペースがないとワンちゃんも落ち着けないのです。

4、 空気環境

空気がいつも綺麗というのも大切です。ワンちゃんは鼻で呼吸しています。特に鼻が低いワンちゃんは空気が直接からだに入りやすく、その分呼吸器系の病気になりやすいと言われています。ですから、換気がしやすいことなど、家の中の空気をいつも綺麗に保てる住まい環境も大切です。空気環境を考えることは、犬特有の匂いの改善にもつながります。それに、綺麗な空気を吸っている人の方が人も綺麗なことが多いものです。

ペットにもひとりの時間が必要

ただリビングで、“家族と一緒に過ごせれば幸せ”ではないのですね。

そう考えがちですが、それは人間の都合です(笑)。ペットだって、「今は構ってほしくない」という時がありますから。

それは、そのコの性格にもよりそうですね。

その通りですね。近年は日本の気候も昔ほど過ごしやすいわけではありませんので、ペットも室内で一緒に暮らすことが当たり前。一緒に暮らすペットの個性に合わせた環境づくりというのが何より大事です。慎重な子か人懐っこい子か、子犬か老犬か、からだの大きなコか小柄なコか…。犬種によってかかりやすい病気なども異なります。

それぞれの個性や成長に合わせた住まいというと、随分お金がかかってしまうことを想像しますが…。

なにもかもに大々的にお金をかける必要はないと思うんです。それよりも、ペットと人がお互いに気持ちよく過ごせる環境を「考える」ということが大事です。例えば犬も年をとりますよね。一度環境をつくったら終わりではなく、成長に合わせて住まいを見直し、少しずつ手を入れることが必要になります。それはちょっとした工夫でいいと思うんです。

ちょっとした工夫?

うちの犬はもう両目が見えないのですが、トイレは自分で歩いて行きます。足もヨボヨボなんですがトイレは自分でしたがるんです。だから柱の角などにカバーをして、ぶつかっても痛くないようにしています。そういう工夫でいいと思うんです。

そう考えると色んなやり方がありますね。ペットが喜ぶ家ってどんな家でしょう?

ペットにとってストレスにならない環境ですね。それが先にお話した4つのポイントを押さえた家でもあります。床が滑ったり、行きたいと思い足を踏み入れた先でおこられてしまったら、ペットだってストレスを感じます。つまり、犬が何かしたことに対して注意したりおこったりしなければいけない環境を避けることが大事です。先回りしてペットが危なくない環境を整える。この点もやはり、赤ちゃんと同じように考えるといいと思います。

おこってばかりも、おこられてばかりもストレスですものね。他には、あるとより快適に過ごせる設備などを教えていただけますか?

大型犬を室内で飼う場合は、やはり広さがあるといいですね。あとは、玄関とアプローチは結構重要。例えば、ペットがすぐに外に飛び出さない設計であることや、散歩した後に足を洗うことができる洗い場もあるといいですね。

実際に犬と暮らしてみて気づく視点ですね。

そうですね。ハウスメーカーさんや建築士さんが「ペットと暮らす家」を提案していることは少なくありませんが、実は担当者がそんなに動物に詳しくなかったり、ペットと暮らすときに“普通ではないケア”が必要だということをきちんと知っている人は多くありません。ペットと暮らす環境作りに特化している人をパートナーに選んだ方がお家の満足感が高いと思います。何より、犬を大事にする気持ちをわかってくれる相手が一番ですよ。

&PETに期待することを教えてください。

&PETはペットに快適な住環境をと考えている人たちが有益な情報を入手できるサイトだと思います。犬を大事にしている飼い主さんが集まると思いますので、飼い主さん同士などでコミュニケーションが取れるような仕組みも面白いかもしれませんね。

最後にペットと暮らす家を本気で考えている飼い主さんたちにアドバイスをお願いします。

まずは、ペットの特性や個性に合わせた環境づくりが必要ということを知ってほしいと思います。その上で、例えばフローリングなどプロに任せるべきところは、きちんと相談できるプロに。夏と冬の季節に合わせた調節や、年齢に合わせた小さなケアなど、自分でできることは自分で。ポイントは「ペットと人間、お互いにとって気持ちのいい環境であるかどうかを考えること」です。